ASDと診断されると気持ちが楽になるのか?当事者の私が説明するよ

発達障害

「発達障害だと診断されることのメリットは気持ちが楽になることだ」

「確定診断されてスッキリした」

確定診断を受けた人で、このように考えている人は多いです。ネットの記事でそう書かれていたりもするし、当事者YouTuberの人も同じことを言っていたりもします。

ですが、必ずしもそうは言えないのではないかと、私は考えています。

診断されたときの私の心境

私がASDの診断を受けたのは2015年です。

医師から「ASDですね。黒です」と言われました。

ASDは自閉スペクトラム症のことで、症状に濃淡があって、定型発達と発達障害の間のことをグレーゾーンと呼ぶのですが、私の場合は『黒』ということでした。

当時は発達障害のことはあまり知らなかったので、「あ~、やっぱり」くらいしか思わなかったのですが、診断の後にさらに医師から説明があり、「ASDに効く薬はないから、自分で特性を理解して対処することが大事です」と言われました。

このような説明はよく聞く話で、もちろん間違いではないと思うのですが、正直なところどうしてよいかわからなかったです。

ただ、診断された日に認知療法としてカウンセリングを受けることになったので、それなりに満足して帰宅したのを覚えています。

変わらない現実

診断後は定期的に通院してカウンセリングを受けるようになりました。

毎回1時間、臨床心理士からカウンセリングを受け、主治医の診察が5分程度でしたが、カウンセリングの効果を実感することは難しく、続けても意味があるのか疑問でした。

私の受け方が悪かったのかもしれないし、臨床心理士との相性の問題かもしれないし、よくわかりませんが、とにかくカウンセリングでASDが改善されているという実感はあまりなかったです。

ただし、カウンセリングも全く効果がないわけではなく、話を聞いてもらってストレスが軽減した部分はあります。

カウンセリングは1年半くらい行いましたが、ASDの部分はほとんど変わらなかったというのが、正直なところです。

ASDの自分の特性、共感性や社会性に乏しいといったことを理解しても、具体的にどうすればよいのかわからなかったです。

現実的な問題として、人間関係の中でASDの特性は出ないように振舞うことは非常に難しくて、試行錯誤はするものの、あまり改善効果はなかったというのが本音です。

逆に鬱っぽくなったりもした

診断を受けカウンセリングを受けたものの、ASDは改善されなかったことに絶望してしまい、鬱状態になってしまいました。

同じ考えが頭の中をグルグルと駆け巡って、結局気分が落ち込んでしまったりして、診断前の方がメンタルが良かったとさえ言えます。

だから、私の感想としては、発達障害の確定診断を受けたからといって気が楽になるということは、基本的にはないということです。

診断の直後は楽になるかもしれませんが、徐々に現実に打ちのめされて、結局はメンタルを病んでしまいます。

副業のおかげで生きてこられた

じゃあ、どうして今まで生きていけたのかというと、副業をしていたからです。

副業というと『お金を稼ぐ手段』と考えがちですが、それだけではないです。

私にとっての副業は、会社(本業)で問題があったときの逃げ場でもあります。

ASDの特性から、会社ではどうしても強いストレスを感じ、周りからの信頼も得られず充実感のない日々を送っていた私にとって、副業は人生に確かな手応えを与えてくれる素晴らしいものだったのです。

大げさに言えば、お金を稼ぐということは、生活費を得るということだけではなくて、社会から承認されるということだと思います。

なので、副業をして成果を実感することができれば、人って充実感を持って生きていくことができたりします。

ASDの診断を受けた2015年から2018年までは、会社の人間関係が上手くいかず、2回も転職したりしましたが、それでも何とかなったのは、副業である程度の成果があったからです。

何でもいいから会社以外の軸を持とう

発達障害の人は。会社で肩身の狭い思いをしがちです。

私のようにクローズ就労している人は、会社の人にも言えず、合理的配慮も受けられない場合が多いのではないでしょうか?

だからこそ、会社以外に自分の居場所と呼べるものがあった方が断然生きやすくなります。

私の場合、その居場所が『副業』だったわけです。

なんか思ったよりも長い文章になってしまいましたが、お付き合いいただいてありがとうございました。

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